2023年10月30日月曜日

第2クール第8回家族相談会「経験者に聴く 子どもの心の回復過程」②

 今回は公認心理師として働いている♪らるご♪スタッフの猪本の
ヒューマンヒストリー(大げさ?)を伺い、
標準的な回復段階表とイノモトオリジナルの段階を比べながらたどっていきました。 
 
何度も何度も折れずに立ち上がる、壮絶なストーリーはこのようなものでした。
 
***
“周りに遅れたくない” “環境が変わればなんとかなる”と、
熊本の猪本青年は自分を奮い立たせ、持ち前の真面目さと努力でがんばるものの、
中学・高校の教室に行くとお腹が痛くなったり緊張で喉が締めつけられたり、
気持ちが悪くなったり…
予備校時代のひとり暮らしのときも、教室の空間が辛く通えず、ひきこもり
“買ってきたごはん、ただ寝る、ネットとゲーム”の毎日
今後の人生を考えたくない、気を紛らわすだけの生活
 
生きている意味を考えていた猪本青年が“自分を認めてくれた!親が理解してくれた!”
と感じたお母さんの一言があったそうです。
 
「あなたと私は生き方が違うんね」
***
 
私の2人の子どもも不登校になった時、ひきこもり生活をしていました。
最初は、親子ともどんどん周りに離されていくことに焦ったり、
現実を見つめては落ち込み、これからこの子はどうやって生きていくんだろうと
不安になることばかりでした。
 
“親子であっても、あなたと私は生き方が違うんだ”と
当たり前のようで当たり前でなかったことに気づいた時、
ふっ~と肩の力が抜けていったように思います。
“人と同じようにフツーが一番”と思っていた私と、
“フツーに何の価値がある?何のために何をするのかが大事でしょ”
と思っていた長男とは合うわけがないですね~。
大切にするもの、スピード感、気になる感覚、好きな雰囲気など、
あれもこれも違う…
 
子どもたちは、レールやモデルがないから
どこに走り出したらいいかわからなかったんでしょうね。
だからずっと家の中で立ち止まっていたんだと思います。


オリジナルの人生を見つけるには、コンビニでバイトをしてみては1週間で辞めたり、
東京で一人暮らしをしてひきこもりになったり、
あれやこれやと試行錯誤する経験が必然で必要だったのだと思います。
“自分は自分でいいわ。こういうふうにしか生きられないわ”
と踏ん切りがつくまで時間はかかりました。


どうせ時間がかかるのだったら自由な時間を使って、
レール通りでは経験できない未体験ゾーンを
ご家族で楽しんでみてはどうでしょう。
 
これから、いよいよ紅葉の季節です!
平日早朝、京都のお寺散歩とか、贅沢ですね〜。
オリジナルの人生のご家族だけが知っている
ワクワクでかけがえのない時間です。
 
(スタッフ 藤原)

後半は参加者さんに感想と最近の子どもさんの様子をお伺いします。
みなさん、猪本の話を聞きながらご自身の子どもさんのことに心を寄せて
「長い目で見守りたい」と思いつつ、思うように動き出さないことを案じられます。
その一方で子どもさんの小さな変化を語ってくださることもよくあります。
親の目だけでわからない変化でも、他の参加者さんやスタッフからのコメントを聞いて
「そういえば」と気づかれることも多いようです。
親だけで抱え込まないで、今の子どもさんにとって必要なことを
ともに考えていく場になればと思っています。

「経験者に聴く 子どもの心の回復過程」①もぜひお読みください。


第2クール第8回家族相談会「経験者に聴く 子どもの心の回復過程」①「生きていて、良かった」と思える心

家族支援ネット♪らるご♪に携わらせて頂き、
毎回、家族相談会では「感動」と「気付き」がたくさんです。
今回、今までとはまた違った「感動」と「気付き」があり、
そして自分自身を見つめ直すキッカケになりました。
不登校・ひきこもりの経験者であるスタッフの猪本の体験談をお聴きし、
「将来を考えたくなかった」「学校に行けていない自分自身から逃げたかった」
…これは、経験者の方なら、多少なりとも共感できる言葉だったのではないかな、
と思います。

「今も(普通に学校に通えていた人と自分を)比較してしまいます」
「でも、そもそも『生き方』が違うんだ、と」
…私も不登校の経験者の1人です。
初めて学校を泣きながら休んだ日から20年以上の年月が経つのに、
心の中の肝心な所が、あの頃のままの様な気がする時があります。
一生懸命にお仕事をしてみても、疲れきって泥の様に眠っても、
綺麗な景色を観にオシャレをして出かけても。
私なりに毎日を頑張ってはいるのだけれど、心の中の肝心な所は、そのまま。
でも、猪本の「命」「生きるということ」についての核心を突く様な話題に、
「それならそれで、良いじゃないか。ボチボチいこう」と安心感をもらいました。
また、そんな話題の中で、等身大で透明感のある「生きていて、良いんだ」
「生きていて、良かった」という力強いメッセージは、
♪らるご♪の現場に限らず、誰もが心を動かされるのではないかと思いました。

「生きていて、良かった」と思える心の背景には、それまでのその方のストーリーと、
そのストーリーに関わる温かい優しい「出会い」がある様に思います。
もし、誰かにとって、その「出会い」の一部が♪らるご♪であるなら、
私としてもこんなに幸せな事はありません。
もし、そうなら。
私の方こそ、「生きていて、良かった」。(♪らるご♪スタッフ 山口)

2023年9月22日金曜日

9/16 第2クール第7回の家族相談会「子ども(人)が求めている関わり」

 第2クール第7回の家族相談会は「子ども(人)が求めている関わり」をテーマに
福本から「ストローク」について学びました。
「ストローク」……聞き慣れない言葉ですが
「あなたがそこにいるのを私は知っていますよ」という相手に対する投げかけ。
ストロークがないというのは「無視」「無関心」「返事がない」という状態です。
ストロークには快適な「肯定的ストローク」と不快な「否定的ストローク」があり、
子どもに「肯定的ストローク」を与え続けることで
子どもの自己肯定感が高まり、自信ができる。
そして心身のエネルギーを充電し、高めることができるのです。

という話を聞いた後、「思い込みを変えよう!」というワークシートに
「あの時はがんばったなあと思うこと」「自信がついたなあと思うこと」
「人から褒められたり認められたこと」「自分の長所」という項目を
自分のこととわが子のことに思いを馳せて記入。
その後、いつものようにお互いの話を聞き合いました。

いやあ、ワークシートの効果は絶大!!!
どうしても子どもを否定的に見てしまいますが、
みなさん、子どもさんのいいところをいっぱい語ってくださいます。
その上で「私はほめるのが下手だから……」とおっしゃいますが
それもしかたありません。私も同じ。
だって、自分自身がそんなにほめられた経験がないのですから。
でも、自然に出てくる「ありがとう」「がんばったね」「すごい」などなどの気持ちは
表情や仕草からも子どもさんにちゃんと伝わっていると私は思っています。
中にはご自身の考えの偏りに気づかれる方もいらっしゃって、
ワークを通して自分に問いかけることも大事だなと感じました。

最後に「自分探し」シートを記入。
参加者がお互いに「その人のいいイメージ」を書き合って回します。
受け取ったシートには自分では気がつかないような
「いいイメージ」が書かれていて
みなさんにほめられた気分。これは宝物になります。

今回は参加者さん5名、スタッフ3名と少なめでしたが
その分、ゆっくりとお話を伺えたと思います。
お互いに交流もされ、温かい会になりました。(事務局 南野)



2023年9月2日土曜日

第2クール第6回家族相談会 「『心の居場所』をつくるには?」

早いもので、8月19日は第2クール前半の最終回でした。
お盆直後とあって、お休みの方もいらっしゃいましたが、
新規の参加者さん1名、ご夫婦参加3組を含めて
10名の方にお越しいただきました。
暑い中、ありがとうございました。

最初に社会福祉士の山口から
「『心の居場所』をつくるには?」と題したお話を。

福祉を「ふだんの、くらしの、しあわせ」ととらえると
ちょっと親近感がわきませんかというところからスタート。
そして、みんなが心の中に「3匹の『たい』+1」を飼っているって??

「認められ『たい』!」「褒められ『たい』!」「誰かの役に立ち『たい』!」
そしてもうひとつは「コレがし『たい』」。
誰にもじゃまされることのない、本人にとって大切な「興味」や「関心」
そして熱意に似たもの。
そして3匹の「たい」と「コレがし『たい』」を
ありのままに出し、チャレンジするために、
不安や失敗を受け止めてくれる土台=「居場所」が必要。

ここまでの話を、みなさんが自分の子どもさんのことを思い浮かべながら
とても興味深く聞いていらっしゃることが伝わってきます。
後半の2グループに分かれてのお話の中でも話題になりました。

その中で、どの親御さんもおっしゃるのが
「肝心な話をしようとすると、シャッターを閉めてしまう」子どもの姿。
私ももちろん、経験があります。
子どもの「コレがし『たい』」を聞き出すのは本当に難しい。
ひとつは、子どもの「し『たい』」ことと、
親がやってほしいこととが違うこと。
「言ってもどうせ否定されるから」と言い出さない。
それから、本当に「し『たい』」ことは、自分の心の中で温めて
出すタイミングを計っていることもあります。

そしてやはり大きいのが、チャレンジする不安や
失敗したとき受け止めてもらえるかどうかが心配で……
ということでしょう。
親が土台になり受け止められればいいのですが、
それもなかなか難しいことです。

もちろん、家庭も大切な居場所のひとつですが、
子どもさんによっては家庭以外の場所を求められているかもしれません。
あるいはすでに、例えばゲームなどで繋がりができた
netの中に居場所があるかもしれません。
親としては非常に気をもむ部分です。

山口は、本人の希望や悩み、ちょっと言いにくいことを
聞き取って代わりに伝えることも含め、
「コレがし『たい』!」を発信するお手伝い=
「居場所づくり」をする一員でありたいと言います。
「『たい』を実現するための作戦会議」。
ふむふむ、なるほど。

また「合理的配慮」や「しょうがい者手帳」などを使った事例の紹介もあり、
子どもが「コレがし『たい』」にチャレンジするための手助けとして
考えていくのもひとつなのかなと感じました。

今までとはちょっと違う角度から福祉をとらえた話は
みなさんとても興味深かったようで
「福祉を身近に感じました」というご感想も。

今回の話を聞いて
「コレがし『たい』」を出しやすく、
チャレンジしやすい土台=「居場所」をつくるために
家族相談会や個別相談を通して、
今、お子さんにどんな手助けが必要かを
親御さんとともに考えていくことが、
まず私たちにできることだなと再確認しました。

家族相談会は9月から第2クール後半に入ります。
試行錯誤もしながら、よりよい会にしていきたいと思っています。

♪らるご♪事務局 南野




2023年8月24日木曜日

どうすれば継続して社会とつながれるか

 こんにちは、スタッフの猪本です。
今回は、以前のブログで書いた、
“どうすれば継続して社会とつながれるか”について、
自分の経験と照らし合わせながら、思ったことを書きたいと思います。

社会とつながっていく段階で、
心の傷つき体験が多いほど時間がかかり、その継続の難しさを
自信がざるからこぼれていくように中々積み重ならない
と藤原さんが仰っておられたかと思います。

この話から、私も自分に自信がなかなか持てないと
大学の学生相談室で話していたことを思い出しました。
私はこの自信が積み重ならない感じを
“砂の上に建てられた城”のようだと例えていました。
自信になりそうな体験(成績が良かった、発表を頑張ったetc)
を材料として城を建てようとするのですが、
少しの失敗(他人から見たら小さいものでも)が
大波となって押し寄せてきて、それまで建てていたものを全部崩してしまう…
という感じです。
これが頭の中で繰り返されている感じがしていました。

そこで学生相談室の先生と話す中で、
2つのことを今後やっていこうかと話した覚えがあります。
1つ目は、土台を“砂”ではなくて“土”にしていくにはどうするか
2つ目は、大波を防ぐ“防波堤”をどうつくるか
という目標です。

1つ目の砂を土に変えていく作業とは、
「自分で気づかない頑張れたことを、気づかせてもらうこと」です。
自分に自信がないと基本的にネガティブな発想になりがちなので、
自分のやったことの頑張りや、価値に
自分では気づかないことが多々あります。
そこを親・先生・友人etcに気づいて指摘してもらうことで、
気づくことができるように思います。
最初は指摘してもらって気づくことが多いかと思いますが、
段々と自分でも気づけるようになっていくのではないでしょうか。

2つ目の大波を防ぐ防波堤をつくる作業とは、
「嫌な経験に反論する自分をつくること」だと思います。
私が今でも戦っているのは、
不登校・引きこもりになったから今の自分は他人と比べて劣っている
と考えてしまう自分です。
反論として、そういった経験をしたからこそ出会えなかった人もいるし、
今は支援者として誰かの力になりたいという原動力にもなっている
と考えるようにしています。
この大波が、傷ついた経験が多い人ほど強く、
あらがいづらいものだと思います。
〇〇だから、今の自分は…と考えて大波を流されてしまう自分に
反論する防波堤の自分を作ってあげてほしいなと思います。
これも、他人から指摘してもらって気づくことも多いと思います。

砂を土に変えていく作業、防波堤を作る作業、
私もまだまだ作業の途中です。
すぐネガティブになって、自分はダメだなと考えがちです。
そういったときに、親・上司・先輩・友人からの助けを得て、
何とか立ち直ってまた歩きなおしています。

なので、親御さんには本人が気づいていない良いところに
気づいてあげられるように目を向けていただければ、
そして伝えられそうなら、そこを言っていただければ
嬉しいなと思います。

(スタッフ 猪本)

2023年7月19日水曜日

2クール目第5回家族相談会 “就労支援について~自立へ向けて~“

 今月のブログを担当させていただきます、猪本です。
最近は夏らしい気候になってきて、関西もそろそろ梅雨明けかな?
と思うような暑い日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて7月15日(土)、♪らるご♪家族相談会2クール目の第5回が行われ、
10名のご家族の方々にご参加いただきました。

今回は、“就労支援について~自立へ向けて~“
というテーマでレクチャーが行われました。
自立、考えさせられるテーマですね。

配布資料で、自立をピラミッド型で表されておられたのが
とても分かりやすく感じました。
私はどうしても“自立”と聞くと
一番上の経済的な自立をイメージしがちです。
引きこもっていたときも同い年の周りと比較して、
経済的自立が出来ていない自分を責めて、
落ち込んでいたように思います。

しかし、このピラミッド型で考えられると、
下から少しずつ%が増えて、
コップに水が入っていくように自立の段階が
進んでいくのだろうなと思いました。
もちろん段階的に増えていくのが理想…ですが、
今の私も身体の調子が悪ければ
“身体的・(日常生活)の自立”は増減するように思います。
精神的自立も傷つき体験があったりすると、
自分に自信が持てない≒自分で決断が難しいと思うので、
中々思うように進まなかったりすると思います。

また、“どうすれば継続して社会とつながれるか”のテーマの所でも
自分の事を思い出して考えたことがあったので、
それについてはまた後日ブログで書かせて頂ければと思います。

レクチャーの次は、
円になってそれぞれのご家族様の近況をお聞かせ頂く、
“聴く会”になりました。
今回のテーマが“自立”だったので、
ご本人さんの状況と自立の段階を頭で関連させながら
聞かせていただきました。

自立、親子両方にとって大切なテーマですね。
進んだり、戻ったりしながら、
少しずつ各段階の%が増えていけるように、
ご本人さんを支えていただければと思います。

それでは、また来月、よろしくお願いいたします。
(スタッフ 猪本)

2023年6月18日日曜日

大切なのは日常会話の積み重ね

こんにちは、スタッフの猪本です。
今回は、以前のブログで書いた、
進路や将来などの親子両方にとってのデリケートな話題について、
思ったことを書きたいと思います。

私が尊敬している河合隼雄先生の本だったと思うのですが
「真実は劇薬」
という言葉があります。
この“真実”と、進路・将来についての話題は似ているように思います。
私は当時を振り返って、進路や将来のことは、
考えなければならないこととは思いつつも考えられない、
考えると現状を鑑みて頭がパンクしそうになる、
動き出したいけどそんなエネルギーが湧いてこない…等々
そういった心の状態があったように思います。
その状態で正論をぶつけられると、
動きたいけど動けないつらさをなぜ分かってくれないのだと、
怒りが湧いてきたように思います。
(今振り返ると、自分の事を考えて言ってくれていたと思えるのですが)
これだと負の効果の出てしまう劇薬となってしまい、
言った側・言われた側ともに傷つくように思います。
しかし、子どもの心理状態やエネルギーが良い方向に変わりつつあり、
タイミングが合えば、劇薬ではあっても、
正の効果が強い劇薬として機能するのではないかと思うのです。

では、そういった劇薬をいずれ使うためにはどうするか…という事ですが、
まずはサプリメントのような刺激は弱いけれども、
体にとって何かしらのアプローチになるようなもの、
会話にすると“日常的”な会話の積み重ねが大事ではないかと私は思います。
本人が好きな趣味・音楽etcの話題であれば、
なお良いのではないでしょうか。
そういったサプリメント(日常会話)を積み重ねて、
劇薬(進路・将来の話題)を出しても大丈夫かという
本人の心理状態やエネルギーの充電具合をはかりながら、
劇薬をいつか出せるように持って行ってあげて頂ければと
当事者の経験から思う次第です。
(スタッフ 猪本)

8月22日交流会 元ひきこもり経験者をゲストにお招きして

8月の交流会に、元ひきこもりを経験され、現在病院でお仕事をされている HM さんをお招きしてお話を伺いました。 高校まで、そして大学でもとても楽しく過ごしながら、なにか理由のわからない不安が通学中に起り、大学2年のときに行けなくなられたという。これまでお聞きした例では、大学生活で...